第6章-うつ病を抱えながら働き続ける9つのヒント(4/9)

ヒント4 早寝早起きをしよう

「うつ病」を伴う働き方の生活リズムに対するヒントです。

「うつ病」になるとつらいのは朝です。病気の特徴である日内変動により、とにかく朝は辛いです。しかも、症状がひどい時には不眠がちで夜眠れません。眠れないので朝起きられない。朝起きられないから昼まで寝てしまい、夜眠れなくなるという悪循環になりがちです。
「うつ病」を伴いながら就労するには、その朝を克服しなければなりません。よほど特殊な仕事でない限り、朝起きて出勤するのは、安定した社会生活を送る上で大変重要な基礎になります。どんなに仕事で成果を上げていても、やはりしっかり朝出勤できないのであれば、周囲の不信感は大きくなっていくでしょう。

このように4年フルタイムで就労している私が何時に寝ていると思いますか?私は平均夜10時には床に就きます。もちろん仕事で遅くなることもありますし、社内の懇親会など遅く帰宅することはありますが、それはあくまで例外です。そのような生活をしているのはなぜか。「うつ病」を伴いながら、働くためには心身の疲れを溜めないことが何より重要だと考えているからです。心の疲れは、なかなか簡単には取り除くことは難しいときもあります。そのような状態の時に、体の疲れをどれだけ溜めないでいるかが再発を防ぐためには重要になります。

私は、金額の高低を問わず仕事をして、その対価としてのお金を手に入れている以上、仕事に対してはプロフェッショナルであるべきであると思っています。例えば、二日酔いで仕事が手につかないこともたまにはあると思いますが、それが度々であるとそれはその人の仕事に対する姿勢が問われるでしょう。そういう意味で、仕事をするために、ベストの体調(心・体)を整えるということは、働く人にとってその成果よりも重要であると思います。ですから、朝度々遅刻をしたり、お酒に逃避して翌日仕事ができないということは、周囲からの信頼を得るためには避けねばなりません。

そのためには、生活のリズムを整えることが大変大切です。中でも重要なのが睡眠の質・量をしっかり確保することです。睡眠の質・量が確保できないと、疲れがたまり身体的にだるさがあると、精神的な安定感が揺らぎます。そうすると、不安感や恐怖などに対応することができなくなります。病前には考えられないほど、疲れやすい体になりますので、意識的にケアをしましょう。睡眠は毎日のリズムを整えることで、改善すると言われています。夜11時頃には床に就く習慣を続けたいものです。

しっかりした食事のバランスも大切です。精神的に不安定になると甘いものがほしくなりますが、甘いものばかり食べていては肥満になります。また、アルコールも注意が必要です。抗うつ剤、抗不安薬、睡眠導入剤等「うつ病」の薬は、アルコールとの相性は大変悪いものがほとんどです。「うつ病」の辛さを紛らわすためにアルコールを飲むとアルコール依存症になる確率が飛躍的に上がります。アルコールと自殺の関連も無視はできません。なかなか断酒はできないかもしれませんが、アルコールが手放せないような状態になっているとしたら、専門の病院でしっかり治療をうけましょう。

いずれにしても、「うつ病」を伴いながら働き続けるためには、節制した生活を心がけることが必要です。節制をした生活をしていれば、「うつ病」の再発を防ぐことになりますし、日頃の健康に気を使うことにより体調が良くなるはずです。安定した心を維持するためには、健康な体が不可欠です。