第6章-うつ病を抱えながら働き続ける9つのヒント(1/9)

アビリティスタッフィング

ヒント1 味方をつくろう

6章では、私自身が「うつ病」を抱えながら4年間仕事をし、試行錯誤の結果で見つけたちょっとしたヒントについてお話をしたいと思います。このヒントは誰にでも当てはまる訳ではありませんが、皆さんが仕事をしていく上での参考にできるものがあると思います。
「うつ病」は周りから分かりにくい病気です。熱がある、検査結果が悪い、どこかが痛いなど明確に誰からも分かるものがある訳でもありません。本人も周囲もついつい危険な兆候を見逃してしまいがちです。
また、「うつ病」の分かりにくさの一つに、症状に波があることです。この波は曲者で、調子がこれといった原因がないのに悪くなったりします。

このような病気ですから、周囲からは昨日まで元気で働いていたのに突然調子が悪いから休みますというと、当初のうちは心配をしてくれると思いますが、それが度々になると上司から注意されたり、同僚から信頼を失ったりすることがあります。このような職場環境になると、ただでさえ就労をすることだけでも大変なのに、それに重なるようなストレスを抱えてしまいます。
「うつ病」は孤独感を感じやすい病気です。しかも、その孤独は自分で蒔いた種であったりすると本当に自責感にさいなまれるようになります。それを緩和してくれる味方が必要不可欠です。この調子が悪くなったときに、職場で貴方の状態を理解してくれる人がいると、本当に違います。

オープンで就職するときのメリットは、自分の状態を正直に話せる環境にあることです。正直に話せる関係性を持つことができれば、「うつ病」が社会的に認知されてきた昨今の環境では、ある程度の理解は得やすいでしょう。その時のポイントですが、できるだけ具体的にかつ文脈を持って話せるかがカギになります。どんなとき、どのような症状が起こりやすいのか。どのようにしたら回避できるのか。などを丁寧に説明しましょう。その際に、感情的にならないことが重要です。「うつ病」を感情の病気として説明すると、なかなか第三者には伝わりません。
味方は、上司や同僚にできるだけ幅広くつくることがよりベターではありますが、なかなか簡単にはつくることが難しいことも事実です。ついつい理解をしてくれない周囲に対して失望したり、あるいは敵意をもったりしてしまう人も多いでしょう。しかし、理解してくれない環境を嘆くのでではなく、いかに理解してもらい味方になってもらうかという視点で周囲と向き合うことが大切です。味方になってもらうためには、理解してもらう努力を、こちらから働きかけなければ前に進みません。周囲はあなたのことを理解する素地が決して十分ではないケースも多いでしょう。それをどのように理解してもらうか。やはり、元気な時にできる範囲で構わないが仕事をしっかりしていて、一定の評価を受けておく必要があるでしょう。人間は感情の動物です。日頃頑張っているなと評価している人の意見は周囲も理解しようとして、耳を傾けてくれます。しかし、日頃の行いが評価されていないと全く同じことを言っても、それはやはり周囲の理解を得られないと思います。

味方をつくろうというのは、「うつ病」の症状が悪くなったときに、心や体を休ませることができる環境を元気なときに準備しておくことです。日頃のコミュニケーションで如何に信頼関係を構築できるかがカギになります。