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「うつ病」就職体験記 「うつ病」就職体験記

第1章 うつ病になってしまった( 4 / 5 )

第4話 退職しなければ前へ進めなかった

2007年春、退院しました。しばらくは自宅療養を要すると言われてはいましたが、「うつ病」の極期はなんとか脱出することができました。

気がかりであった同志の彼に退院の報告の電話をしました。「良かった。こっちは大丈夫だから、色々仕事が取れそうだよ」と笑って話してくれました。いよいよ職場復帰を具体的に考えなければいけない時期になったのです。

もともと私は本の虫です。暇さえあれば本を開いていましたし、入浴中は湯船につかりながらだいたい読書をしています。それが「うつ病」の極期にはまったく読めなくなりました。退院が近づくにつれて本が読めるようになり、「うつ病」からの職場復帰はどのようにすればいいのか、そのノウハウや秘訣がないかととにかく関連図書を読み漁りました。精神科医、カウンセラー、元患者の書籍が大きな書店にはそれこそ大量にあります。

それらの本には、いろいろなアドバイスが載っていますが、まとめると以下の3点になるのではないかと思うようになりました。
①「うつ病」からの復帰は段階的に行ったほうがいい。
まずは近くの図書館に通って本を読み、次に電車にのって会社の近くに行き帰ってくる。復職は短時間勤務から徐々に時間を延ばしていく。
②仕事はしばらくの間補助的業務で、成果を期待するより、まずは継続できることを目指す。
③「うつ病」になった経過を十分に理解し、そのような環境にならないように、職場環境の調整をする。
まじめぐらいしか取り柄がない私は、このアドバイスに忠実に実行しようと思ったのです。
①はなんとかこなせるようになりました。しかし、②・③がどうしてもできないのです。
②は間接補助的業務とはいいますが、もし、自分が元の会社を退職せずに続けるとしたら基本的にコンサルティングの分析作業ですから、かなり専門的です。しかも、前述したように、私は物流領域のコンサルティングに関しては、全くの素人です。彼は簡単に言いますが、本当に簡単にマスターできるものではありません。簡単にできるようなものであれば、あれほど高価なコンサルフィーはだれも払うはずがありません。また、彼自身は本当に営業・コンサルティングの案件に忙しく、とても私の育成に時間を費やすことはできないのは分かっていました。ですから、彼から出された宿題をいつまでもできない。そんな感じになるのだろうと想像してしまい、オフィスで課題をクリアーできない自分を自責感に悩みながら、悶々としているのだろうことを予想すると、恐ろしくなってしまうのです。
③は更に難題でした。二人で始めた東京オフィスは営業・コンサルタント以外の人間は必要ないのです。人事・総務などは地方にある本社で行っていましたし、そもそも20人程度の小さな会社です。スタッフ業務などはほとんどないのです。ですから、体験談によくあるように仕事内容や就業時間などを変えることで、柔軟に職場復帰ができる可能性は限りなくゼロの状況でした。退職の事も頭をよぎりました。

また、どんなに病気が快復しても、前のように営業やコンサルタントのようなストレスフルな仕事はできないだろうと思うようになってしまいました。とにかく、お客さん・ノルマが怖いのです。

退職せずに社会復帰する事について、本当に悩みました。そもそも二人の夢のため、どんなに苦労しても乗り越えようと肩を組み立ち上げた、その戦いから一人私は逃げようとしていたのですから・・・。

みなさんもご存じのように、「うつ病」は再発が大変多い病気です。一説には初回の発病者のうち、実に50%は再発するというのです。もう二度とあのような辛い日々はなんとしても避けたいです。今の仕事の大変さは、少し冷静になって考えても、とてもうつ病を抱えてこなせる内容でないことはよく分かっていました。

よく本には「うつ病」の時に大切な判断をしてはいけないと書いてあります。退職、離婚などはもっとも避けるべき内容として紹介されています。しかし、職場復帰するか退職するか色々考えても、怖いのです。どうにも説明できない恐怖がありました。

そして、やはり別の道を探そうと決意したのです。彼には分ってもらえませんでした。私の恐怖を。

彼が理解できなかったのは、私が退職を決断したことより、職場復帰した際に行うであろう分析作業や営業活動など、仕事そのものに対する恐怖心であると思っています。

アビスタポイント

いろいろなアドバイスがありますが、何よりも大切なのは、自分ひとりで抱え込んで結論を出すのではなく、まわりの人に頼るということだと考えています。医療面の回復・生活面の回復・社会面の回復(就労など)、それぞれの専門家・支援者に上手く助けを求めましょう。