障がい者向けの求人・就職・転職・雇用ならアビリティスタッフィング
「うつ病」就職体験記 「うつ病」就職体験記

第5章 うつからのリワークモデルに照らし合わせて戦略的に活動しよう( 7 / 8 )

第7話 Ⅴステージ 再発予防期

無事に転職ができて、安定的に仕事ができるようになりました。この段階ではほぼ病前の状態に戻っており、普通の仕事ができるようになったことを本当にうれしく思うような時期であると思います。また職場にとっても貴重な戦力となってくれていると評価が得られ、職場が要求する職務遂行能力を発揮できている状態になると思います。

このステージになって考えることは、仕事をしながら「うつ病」の再発を如何に予防していくかということです。

私は、ポイントは2つあると思っています。

まず、第一にいつまで治療を続けるかということです。これは、個人差も大きいですし、ドクターの治療方針によっても大きく変わりますので一概には言えない問題です。少しずつ服薬を減らしていき通院回数も減らしていくことになりますが、できればすぐに止めたいと思うのは誰しも同じでしょう。しかし、私に関して言えば治療を継続しています。それは、「再発予防」に有効だと判断しているからです。朝のつらさがなくなるのに3年かかりました。残業ができるようになるまでもやはり3年かかりました。また、前述した私の事例のように、仕事の内容や職場での役割が変化することで、「再発」の危険性が高まることがあり得ます。治療を継続していることは、ドクターやカウンセラーなどの専門家と定期的に時間を作って、現在の状態をチェックすることになります。ついつい仕事が忙しくなると、体のことは二の次にしてしまいがちになります。そのような環境になったときにでも、自分を顧みることはやはり重要であると考えています。ドクターやカウンセラーと相談するだけではなく、職場の上司やご家族ともよく相談して、治療を続けるか決めていきたいものです。

次に「うつ病」を経験したことを自分の価値観にどう取り込むかです。いわゆる「うつ病」本では、最後に必ず、新たな価値観になることが大事だ、生まれ変わった(reborn)というようなことが書かれています。このことは大変正しい事だと私も思っていますが、これまでの5年の歩みのなかでこれほど悩ませた言葉はありませんでした。私は、「うつ病」というトンネルを潜り抜けました。しかし、この経験を自分の糧として、素直に評価できない自分がいました。そのことはこのような「うつ病」本で書いていることが、まだ実現できていないのだと悩みました。

しかし、この1年間のいろいろな人々との出会いや出来事を経験した私には分かってきました。「うつ病」本で言っているのは、意識的に「価値観を変える」のではなく、「価値観が変わる。変わるまで待つ」ということなのだと理解したのです。私は、「うつ病」を患った事実をプラス思考で受け止められないことで、まだ「うつ病」を克服できていないと悩んでいましたが、そもそも無理やりプラス思考で「うつ病」を評価したところでそれは自己欺瞞でしかないのです。そうではなくて、「うつ病」を患ったことにクヨクヨしたりしていてもいいのです。ただ今やれることを一生懸命やっていれば、あるときその思いが「変わる」のです。

サナギが蝶になることを生物学では変態といいますが、ちょうどそのように自分の価値観が「変わってしまう」のです。そして、大切なのはいつ来るかは分からないがそれを待てることなのではないかと思います。「うつ病」になる人のこうでなければならない(「うつ病」を肯定的に受け止めなければならない)というべき思考から脱却することが大切なのだと思います。