5章-うつ病のステージごとに考える、働き続ける方法(3/8)

第3話 Ⅰステージ 治療専念期

「うつ」の治療専念期に行うことは、まずは治療です。「うつ」の治療について、専門家では無い私にはどのようなことをしたら、回復できるかをお話をすることはできません。
ただし、この時期に仕事のことを考えてしまう気持ちはよく分かります。周囲からは仕事のことを忘れて療養してくれといつも声掛けをされていると思います。しかし、気にするなと言われても先のことが不安になってしまい、ついつい考えて悲観的になり時には絶望的な気持ちになるものです。希死念慮が繰り返し発生して、自分の存在そのものも悪であるかのように思ってしまいます。

一方で体調は非常に悪く、不眠が続いていたり、食欲がなかったり、頭痛・めまい・吐き気・動悸など身体的な不調のピークであると思います。
抗うつ薬を飲んでもすぐに効果はでませんし、休息といってもなにもしなくてもいいということそのこと自体が苦痛であったりします。しかも、「うつ」には波がありますから、数日調子がいい日が続くともう回復していると思いますが、その後にくる不調は本当に絶望的な気持ちになり、もう一生このままなのではないかと思えてきます。この時期は何を考えてもマイナスにしか判断できませんから、転職などは考えるべきではありません。しかし、職場そのものが「うつ」の原因であった私のように、復帰そのものが難しいと判断されるときには、転職の文字が頭に浮かぶのはある意味仕方がないことでもあります。
信頼できる医療機関と出会うことが大切ですが、精神科は現在どこも大変多忙で多くの病院では5分診療でいろいろな抗うつ薬が処方されるだけで、なかなか信頼感が持てないのもまた事実でしょう。しかし、ドクターショッピングのようなことをしてしまい、たくさんの種類の薬を処方され、何が効いて何が効かないのかが分からないようになることは避けたいです。
今、私には自分自身の体験をもとにした結果論でしかご説明できませんが、この「うつ」の極期には手品のように良くなることはないように思います。時を待つしかありません。「うつ」は日々変化します。そういう変化を短期間で判断すると一喜一憂する日々になってしまいます。時間軸をなんとかして長くもち、今はこうして寝ているときなのだと思えるまで待つしかありません。

以下のチェックリストを参考に該当の項目が8個以下なら、とにかく治療に専念してください。先のことは調子が良くなるまで保留にしておきましょう。


  • 自分が信頼できる主治医がいる
  • 薬の処方が2週間以上変わらず安定している
  • 夜の睡眠が十分取れ、午前中から活動できる
  • 日記などの活動記録をつけることができる
  • 頭痛やめまいなど身体の不調がない
  • 新聞や雑誌など活字を読むことが億劫ではない
  • 入浴、歯磨き、洗顔などの身の回りのことをするのが苦ではない
  • 食事をとることができ、体重が安定している
  • パソコンやテレビの画面を抵抗なく見ることができる
  • 職場からの電話に少し疲れながらも対応ができる(退職してない場合)

如何でしょうか。8項目以上の○が付かない場合は本当に辛い日々をお過ごしのことと思います。このときの自分を思い起こすと、希望を持てない日々でした。一日一日をどれだけ安定的に過ごせるかの一点に着目して療養に専念しましょう。