うつ病から復職までのステップ

アビリティスタッフィング 精神障害者保健福祉手帳とは

うつ病から復職するためには、「生活・睡眠リズムを整える」「復職に向けた意思表明」「職場復職への手続き」「職場復帰後」のステップを踏む必要があると言われています。職場に復職するにあたり必要とされる準備の例と、うつ病からの復職時の4ステップについてご紹介します。

Step1 生活・睡眠リズムを整える

休養時に乱れていた生活リズムを改善させるためには、睡眠覚醒のサイクルを一定に保つことが大切です。まずは休職前と同じ時間に就寝・起床し、日中の活動時間を延ばしてみましょう。その上で出勤していた時の感覚を取り戻すことが大切です。自分だけで復職準備を行うのが不安だと感じる方は、主治医に相談した上でリワークプログラムを利用するのも良いでしょう。リワークとは“Return to Work”という言葉から生まれた造語です。復職およびその支援を行うものであり、地域障害者職業センター、医療機関などで実施しています。
リワークプログラムは様々なプログラム(下記参照)を通じて、職場復職に向けた実践的なトレーニングを行います。これにより、離職前の業務遂行能力を回復させることが目的です。また、精神疾患の仕組みや治療薬の使い方等病気に対する理解を深め、うつ病再発を防ぐための方法を学び、復職した後に働く力を養います。 リワークプログラムを通じて復職に向けたアクションを行うことで、通勤していた時の生活リズムを取り戻すことが期待できます。朝起きて日中活動し、夜きちんと眠るというサイクルを作ることで、仕事ができるレベルまでの状態を取り戻すことを目標としています。

リワークプログラムの例

  • SST(生活技能訓練)、認知行動療法などの心理プログラム
  • 物品請求書の作成等、実務的な事務課題
  • 作業療法としてのスポーツや料理
  • パソコンを用いた文章入力や校正作業

病状や復職先職場の業務内容によって異なりますが、多くのプログラムがパソコンを使った実務的な作業が多いようです。
最初のうちは、無理ない日数・時間からスタートし、徐々に日数や時間を増やしていきます。継続的にプログラムに参加することで最終的には、休職前の勤務時間に近い活動期間を目指します。


Step2 復職に向けた意思表明

生活リズム改善やリワークプログラム等を通じて、支障なく日常生活が過ごせるようになったら主治医に相談し、復職に向けた意思表明をします。主治医は日常生活の上で支障がないかどうかを元に復職の可否を判断します。
もし、復職後に想定されている仕事内容、勤務条件が分かっている場合は、それも伝えましょう。
厚生労働省の手引きによると、復職可否の判断基準の例は以下の通りです。

  • 労働者が十分な意欲を示している
  • 通勤時間帯に一人で安全に通勤ができる
  • 決まった勤務日、時間に就労が継続して可能である
  • 業務に必要な作業ができる
  • 作業による疲労が翌日までに十分回復する
  • 適切な睡眠覚醒リズムが整っている、昼間に眠気がない
  • 業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している  など

Step3 職場復帰の手続き

主治医に復職の可否を判断してもらったら、次は、復職に向けて職場と話し合いを行います。
復職診断書 を職場に提出し、管理監督者 や人事担当者等とともに、復職に向けた段取りや復職後の仕事の進め方について打ち合わせを行い、調整をしていきます。 場合によっては、復職前に産業医面談(診察)があります。また、最終的な復職判断は事業者側が行います。(厚労省の指針)主治医の見解、本人の意思だけでは、復職不可のケースもあります。スムーズな復職に向けて、生活リズムや体調を整えながら準備をしていきましょう。


Step4 職場復職後

復職しても、うつ病が再発して休職してしまうケースも少なからずあります。主治医は日常生活ができるレベルまで体調が回復したかを判断する為、診断と業務遂行能力が異なるケースも中にはあります。 また、職場復職初期は、緊張から症状が不安定になるとも言われています。定期的な通院・服薬を継続しながら、徐々に心身をならしていくことが大切です。

手厚い支援やサポートを受けながら、精神障がい者雇用枠で働くという選択肢もあります。
精神障害者保健福祉手帳を取得すると精神障がいに対する企業の理解を得られると共に、各種制度の適用や支援も受ける事ができます。