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「うつ病」就職体験記 「うつ病」就職体験記

第3章 うつ病とともにこんな仕事をしてきた( 6 / 6 )

第6話 START OVER

2010年秋。自分から仕事を減らしてほしいという事は、本当に断腸の思いでした。やっと取り返せるようになってきたのに・・・やっと人並みに働けるようになってきたのに・・・・そんな思いでかなり落ち込みました。

毎月一度の割合で既に4年も見てもらっているカウンセラーの先生から、このようなことを言われました。「鈴木さん、今回は本当によく立ち止まることができましたね。再発をしてしまったら、症状は悪化しますし、回復も遅くなります。なによりキャリアの面からみても大きなマイナスになります。今回の決断は素晴らしいことだと思いますよ」

キャリアにとって今回の決断はプラスになったのだろうか?せっかく部長が期待をしてくれて、主任 にしてくれたのにその期待に応えられず、自分からGIVE UPしてしまった。また周回遅れになってしまったな。

高校の同級生は有名なショービジネスのプロデューサーになりました。大学の同級生は大手電機メーカーの携帯電話開発のプロジェクト部長になり渡米しました。新卒で入社した会社の同期は、部長になりました。なんだか一人取り残されているような気持ちになりました。

5年前大手電機メーカーを辞める時、こんな思いを胸に持ち少しの優越感に浸っていました。「これからは自分でスキルをデザインする時代だ。みんなは大手企業で今まで通り働いて、そんな決まりきった人生でいいのか。この変化の時代に大企業にしがみつくのがどれだけ危険なことか、みんな分からないのだ。俺は大志を抱いて勝負するのだ」そんな思いが如何に浅はかであったか、本当に思い知りました。

仕事に気持ちが入らない日々が続きました。

START OVER

しかし、何の気なしに見ていた広告に、新規事業のこんな記事が載っていました。「精神障がい者雇用への正しい理解を企業に伝えながら、障がい者雇用枠で働こうとする方々をトータル的にサポートいたします」その瞬間、すべてはこのために今までの時間があったのだと思いました。そうです。アビリティスタッフィングとの出会いでした。

今、「うつ病」という精神障がいを抱えながら転職し、働き続けていられる。それが、如何に大切なことで、しかも重要なことなのかをもう一度思い返しました。自分の働きは自分一人だけのものではないのだ。もちろん、金銭的に生きていくためではあります。しかし一方で、このような「うつ病」でも働きけるということを証明することでもあるのだ。

この会社に入社する前、デイケアで親しくさせて頂いたある仲間の言葉が蘇りました。「鈴木さんは僕にとって希望です。頑張ってください。」そして、このプロジェクトのリーダーに連絡をしました。「なんでも良いから手伝いをさせてほしい。もちろん無給で構わない。自分の経験を一人でも多くの人に伝えて、そしてこんな生き方もあることを分かって欲しい」

このような気持ちが芽生えると、自分が今できることをひたすら愚直に取り組みながら、「再発」をしないで働き続けられることを挑戦する自分が誇らしくなってきました。そうすると不思議です。

現業の業務で新たな変化が起きました。グループ内で品質改善プロジェクトが発足して、そのメンバーに抜擢されました。品質改善プロジェクトのメンバーとして、畑村教授の「失敗学」を取り入れたミス分析を行うことを提案し実践しました。それが功を奏したのか、劇的に品質が改善していったのです。この取組が評価され、今度はBest Player賞を受賞しました。

自分が働き続ける本当の意味を気づいた私にとって、新たなスタート(START OVER)が始まったのです。