5章-うつ病のステージごとに考える、働き続ける方法(4/8)

第4話 Ⅱステージ リハビリ期

「うつ病」のリハビリ期は、「うつ病」という病気の中でもっとも大切な時間だと思います。
症状が安定し、食事をしたり寝たりする日常生活が普通に送れるようになり、人と話したりパソコンを開いてネットを見たりすることができるようになり、回復を実感できる時期です。このような時期には、近年医療機関で整備が進んでいる作業療法のプログラムやリワークプログラムへの参加などができると望ましいでしょう。
ただし、この時期はあくまで治療の一部です。ですから、医療機関・主治医との指導のもとに行動をしましょう。また、うつ病は波がある病気ですから、調子の状況によってはⅠステージに戻ることもありえます。その時にはまた治療に専念してください。このステージでは症状が緩和されたため、すぐに職場復帰(転職活動)したいと焦りますが、性急な社会復帰は再発の危険性が高く、十分な余力ができるまでリハビリを続けることが重要です。

特にクローズで転職しようとしている場合は、この時期にどれだけ余裕を持つまで回復できるかが肝になります。この時期までは治療ですが、Ⅲステージ以降は社会復帰活動になります。十分な準備をせずに山に登ると遭難の危険があるのと同じです。
この時期は調子の波の振幅が最も大きい時期です。ですから安定して生活ができる、人とコミュニケーションができる、読んだり、書いたり、計算したりすることなどの認知機能の回復を進めましょう。
信頼できる医療機関と出会うことが大切ですが、精神科は現在どこも大変多忙で多くの病院では5分診療でいろいろな抗うつ薬が処方されるだけで、なかなか信頼感が持てないのもまた事実でしょう。しかし、ドクターショッピングのようなことをしてしまい、たくさんの種類の薬を処方され、何が効いて何が効かないのかが分からないようになることは避けたいです。

以下にⅢステージに移る前のチェックリストを並べてみました。


  • 1ヶ月以上身体的不調が無い状態が続いている
  • 眠気など抗うつ薬の副作用も感じず、飲み忘れることもない
  • 自分の体調を客観的に把握していて、調子が悪い時自ら休息できる
  • 自分の好きなこと(趣味など)が楽しいと感じる
  • 新聞や雑誌などを読んだとき、内容がスムーズに頭に入る
  • 満員電車や人込みが苦痛ではない
  • 食事を規則正しい時間においしく食べられる
  • 仕事に関連するニュースなどを見ても気持ちが沈まない
  • 毎朝、規則正しく、決められた時間に起きることができる
  • 家族、主治医以外の人と仕事に関する話をしても苦痛ではない

如何でしょうか。9項目以上の○が付くようになったらいよいよ社会復帰(転職活動)の時期になります。8個以下でしたら、まだまだリハビリが足りません。時期尚早と思っていいと思います。
この時期には「休息」で衰えた体力を取り戻す時期でもあります。できるだけ、毎日家から出かけることを心がけましょう。できれば、ウォーキングなどの軽い運動をしてみるといいと思います。できれば、軽く汗がでるくらいの運動を毎日の生活に取り入れたいところです。最初は億劫感があると思いますが、すこし頑張って習慣にすると意外に続けられます。
この時期の特徴でもありますが、調子の悪い日は本当に極期に戻ってしまったかのような日が、まれにあります。いろいろな「うつ病」仲間に聞きましたがみんなそのような感じだそうです。そのときは思い切ってふて寝をしましょう。何日かすればもとの調子に戻ると思います。この時期は焦りきすぎず、しかしちょっと頑張ってのさじ加減で生活することが大切でしょう。