5章-うつ病のステージごとに考える、働き続ける方法(2/8)

第2話「うつ病」からの転職をリワークモデルに照らし合わせて現在地を把握する

「うつ病」からのリワークについては、いろいろな著書で触れられています。 しかし、多くの事例が元々いた職場への復職であることは否めません。

アビリティスタッフィングを利用し、就職活動をされる皆さんは、‘転職’によってご自分にあった働き方を検討されています。そこで、「うつ病」からの‘転職’のリワークモデルが必要であると考えました。私は、『「うつ病」からの職場復帰のポイント』(吉野聡・松崎一葉著 秀和システム)で提唱しているリワークモデルを参考に、転職モデルを検討しました。その結果、転職におけるリワークモデルは以下の5ステージをSETP by STEPで進めていくのがいいのではないかと考えました。この5ステップを着実に踏んでいくことで、戦略的に活動ができると考えています。転職を考える際の参考にしていただけるよう、「うつ病」を抱えている皆さんが今どこのステージにいて、それぞれのステージでどのような活動をすることがいいかのポイントもあわせて提案しています。

各ステージの概要は以下の通りです。

Ⅰステージ 治療専念期

医療機関よりうつ病の診断を受け、職場を離れて休息と薬物治療に専念する時期。
症状が一番重くまずは症状の緩和に注力する必要がある。


Ⅱステージ リハビリ期

段階的に症状が安定してきて、睡眠がとれ、日常生活が送れるようになってきたら、うつ病で損なわれた意欲・集中力・体力(社会生活機能)などをリハビリで回復していく時期。
まだ症状が残っているので調子は良い悪いを繰り返すが、長い目でみれば回復していくので焦りは禁物。


Ⅲステージ 職場環境調整期(就活期)

主治医から就労可能との診断を受け、転職活動を始める時期。
情報収集と企業とのコミュニケーションにより具体的職場復帰のプランを検討し、求められるレベルと提供できるレベルの調整を行う。


Ⅳステージ ならし就労期

就労を開始する時期。
ただし復帰後すぐには企業の求める労働をすることは難しいため、焦らさず少しづつ環境に精神面・身体面を慣らしていく。この段階で急ぐと再発の危険性が非常に高い。


Ⅴステージ 再発予防期

ならし就労で企業の期待する職務遂行能力レベルまで自身の業務レベルを近づけていき、企業から求められる仕事量をこなせるようになったら、再発を防止する活動を継続しつつ就労を行う時期。ほぼ発病前の状態に戻るが、発病したきっかけを整理し、再発を避ける活動を継続する。


次項以降で、「うつ病」の方々が今どのステージにいるかをセルフチェックできるチェックリストを提示しています。それをご自身で確認して頂き、そのステージでの活動のポイントを参考にして頂けたらと思います。

ここで、注意事項が一点あります。
「うつ病」をクローズにして就労する場合です。この場合、ならし就労期というのは基本的に有り得ません。ですからⅡステージのリハビリ期に十分に職務遂行能力を蓄え、そのうえでⅢステージの職場環境調整期で再発しないような条件の職場を探さなくてはなりません。