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「うつ病」就職体験記 「うつ病」就職体験記

第4章 うつ病からの社会復帰( 2 / 7 )

「うつ病」クローズにしての社会復帰の条件

「うつ病」をクローズにして社会復帰するには、どのような条件を整える必要があるのでしょうか。

①現状のコンディションを冷静に分析する必要があります。

まず体力の回復が重要です 。(※1)休養期間が長かった人は本当に実感することと思います。体力が無ければ通勤ができませんし、どのような仕事でも7~8時間就業しなければなりません。肉体労働ではなくても、「うつ病」から復帰した人には大変な重労働だと思います。

次に、集中力です。極期にはあらゆる認知機能(記憶力・判断力・読解力・集中の持続など)が低下します。四六時中集中はもちろんできないとは思いますが、何かに集中することができなければ、仕事などできるはずはありません。

次は、コミュニケーション力です。どのような仕事に就くにしろ、他人との人間関係は非常に大事です。「うつ病」を抱える人にとっては、自分の状態を正確に伝えられるかどうかで、職場での立ち位置が大きく影響します。「うつ病」の人にとってなかなかハードルが高いタスクではありますが、職場に社会復帰をしたら、環境調整は自分から発信しないと始まりません。「体調が悪いので休みたい」「今の仕事はハードなので、担当をかえて欲しい」などを伝えられないと、復帰後の不調の時に乗り切れません。

最後に、ストレス耐性です。「うつ病」になるとストレス耐性が極端に低下します。イメージからするとコップの中の水がいっぱいの状態のような感じです。普通の状態なら少々揺れても水はこぼれませんが、「うつ病」になると水がいっぱいなのでちょっとしたことでこぼれてしまいます。仕事をする上でストレスが無い状態はありません。明確にどのようなレベルまでストレス耐性を上げるかは、定量的に測れませんが大変重要です。

②「うつ病」になった原因を正しく把握する

「うつ病」は基本的に一つの要因だけで、発症する人は少ないと思います。いくつかの環境要因とご自身の個人要因が絡み合って発症したのではないでしょうか。再発することなく、社会復帰後も働き続けることを成功させるには、このような原因の分析が不可欠です。あくまで私の私見ですが、以下の要因は最低限確認しておく必要があると思います。

【外的環境要因】
これは、自分の置かれている環境がどのように変わったかを確認します。

  • 自分には難しい仕事ではなかったか
  • 労働時間が長すぎることはなかったか
  • 人間関係(上司・部下・同僚・顧客・家族等)で過度のストレスがたまることはなかったか
  • その他の要因(結婚、離婚、親族の死、転勤、転職、昇進、降格、引っ越しなど)のライフイベントの重要な出来事はなかったか

【内的環境要因】
これは、環境の変化に対するご自身の対処について確認します。

  • 今までの価値観に問題はなかったか
  • 過度に自責感を感じるような考え方をしていなかったか
  • 外的変化、他人の評価などを冷静に受け止めることが出来ていたか
  • ストレスを感じたとき、それを発散する対策は十分にとれたか

このような原因を明確化することで、どのような対策を立てれば再発を防げるかが見えてきます。

③クローズで社会復帰できるレベルまで自分をどのように上げていくか

体力・集中力・コミュニケーション力・ストレス耐性のすべてが、ある程度のレベルまで回復しないと、働き続けるのは難しいと思います。

「うつ病」クローズにしての社会復帰の条件

ではこのような力を回復するには、どのようなことをすればいいのでしょうか。まずはしっかりリハビリをすることが大切です。そのために使える社会的リソース(デイケアやNPOの社会復帰支援団体など)のプログラムを有効活用しましょう。しかし、このような活動で十分かというとなかなか難しいと思います。これは根源的な問題ですが、仕事の力は仕事をすることによってしか、回復できないことにあります。つまり、いくら図書館に通うために満員電車に乗れても、通勤のために満員電車に乗れるかはまた違う次元です。NPOなどで行っているビジネスゲームができるようになったからといって、ビジネスの世界での交渉事ができるとは限りません。なぜなら、緊張感がまったく違うからです。しかも、仕事をし始めれば週5日間、朝から夕方までの時間を就労しなければなりません。仕事ができるようになるための戦略的リハビリをどのように進めるかは、大変重要であると思います。

④ 逃げ道をどうやって確保するか

「うつ病」は波のある病気です。回復傾向にある時でも、翌日になるとこれといった理由もなく、症状が悪化してしまうことが多いと思います。

クローズで社会復帰したときに、この波が最も厄介な問題だと思います。どんなに回復しても、寛解までには何度となく不調の波がやってきます。その度に、休まなくてはいけないところを、無理をして仕事をしていると、再発の可能性は一気に高まります。入社してすぐには、なかなか休むことをお願いすることは言い出しにくいでしょうし、周囲の理解も得にくいと思います。この周囲の不信感がより、休みを取りにくくして、さらに逃げ道を塞ぎます。調子の悪い時には休むというのが、本人にとっても会社にとっても良いことであることは、自明なのですが、やはりそこには感情があります。「また休み? 調子が悪いなら仕方がないが、ちょっと責任感が低いのではないか」などと、休む連絡をするたびに、上司に言われてしまうと大変気まずいですね。また、同僚の方にも不信感を持たれてしまいますと、日頃の仕事にも支障をきたすでしょう。日頃の仕事ぶりやコミュニケーションで信頼を獲得しておくことは、大変大切になります。

「うつ病」は、たびたび調子が悪くなることは避けられません。避けられないピンチのときに如何に損害を少なくするか、そのような戦略思考で元気な時の信頼関係を高める行動をしておくことが重要だと思います。

アビスタポイント
  1. 社会復帰をする前に、十分なリハビリを行ってください。
    精神疾患の治療のため、皆さん休養をとったかと思います。「うつ病」の治療は服薬と休養が二本柱です。とはいえ、この「休養」が大変やっかいで、ここで苦労された方も多いのではないでしょうか。
    「休むこと」の辛さ、大変さを、わたしどもも度々お聞きします。
    逆に、しっかりと休養のできた方はその後の体調も良好な場合が多いそうです。