精神障害者保健福祉手帳とは
精神障害者保健福祉手帳とは
平成7年に、精神保健福祉法の制定され、精神障害者保健福祉手帳の交付制度が設立されました。手帳交付の目的は、精神疾患が原因で日常生活や社会生活に支障をきたしている方を対象に、様々な支援策を打ち出し、精神障がい者の自立や社会復帰支援を図ることとされています。
手帳の申請には、精神障害の初診日から6か月以上経ってから精神保健指定医が記載した診断書が必要です。
受給資格となる精神疾患者は下記が挙げられます。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物やアルコールによる急性中毒又はその依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- その他の精神疾患(ストレス関連障害等)
なお、精神通院医療による医療費助成や障がい福祉サービスは、手帳の有無を問わず精神障がい者なら受ける事ができます。但し、区市町村民税が一定以上の納税額を超える場合は対象外となります。
詳しくは、各市区町村の窓口にお問い合わせ下さい。
精神障害者保健福祉手帳の有効期間
精神障害者保健福祉手帳の有効期限は、申請が受理された日から2年後の月末までとなります。手帳を更新するためには、医師の診断書を添えて更新手続きを行わなければなりません。更新手続きを行う時は、3か月前から申請できます。自動で更新されるものではなく、手続きを行わなければ失効してしまいます。更新時は提出書類の内容を鑑みて、再度等級審査が行われます。障害等級の変更が認められた場合、手帳は変更決定を行ってから2年後の月末までが有効期限となります。期間内でも状態が変化した場合は、障害等級の変更が申請できます。
精神障害者保健福祉手帳で受けられるメリット
精神障害者保健福祉手帳は、精神障がい者の方の自立支援を目的としており、日常生活をスムーズなものにする狙いがあります。そのため、自治体にもよりますが、下記のような優遇措置を受けることができます。
- 公共料金等の割引
- NHK受信料の減免
- 所得税や住民税、相続税等の控除
(1級のみ)自動車税や自動車取得税の軽減
※ 都道府県毎に受ける事ができるメリットが異なる為、詳しくは自治体や事業者の窓口で確認できます。
参考として、東京都の場合を下記に記載します。
所得税
納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が手帳を保有している場合、所得金額から級に応じた額が控除されます。また、1級の方と同居している場合、上記のほか、配偶者控除・扶養控除に加算があります。
住民税
所得税と同じく、住民税も級に応じた額が所得金額から控除されます。
1級の方と同居している場合も同様に控除を受けられます。
相続税
障害者が相続した場合、年齢及び級に応じた額が税額から控除されます。
贈与税(1級のみ)
1級の方への贈与に当たり、信託銀行との間で「特別障害者扶養信託契約」を結ぶと、贈与額のうち6,000万円まで非課税となります。
利子等の非課税
少額預金の利子所得等の非課税制度及び少額公債の利子の非課税制度を利用できます。
(1級のみ)自動車税、軽自動車税、自動車取得税
自動車税・自動車取得税について、
「(1)障害者の方が所有又は取得し、日常生活のために使用する。」
「(2)障害者の方が所有又は取得し、生計を同一とする方が専ら障害者の通院・通学等のために使用する。」
「(3)生計を同一とする方が所有又は取得し、障害者の方が専ら通院・通学等のために使用する。」
「(4)生計を同一とする方が所有又は取得し、生計を同一とする方が専ら障害者の通院・通学等のために使用する。」
上記のいずれかに該当する場合、減免されます(平成21年度以降、減免額に上限が設定されます)。
対象者は、1級の方で、自立支援医療(精神通院医療)の支給認定を受けていることが要件となります。
個人事業税
本人又は障害者を扶養している方のうち、前年度の総所得額(事業所得以外の所得があるときは合算額)が370万円以下の方は減免されます。
出典:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/nichijo/s_techou.html
精神障害者保健福祉手帳は都道府県によって異なる点があります。申請をお考えの場合は、必ずお住まいの市区町村の窓口に確認してみてください。
療育手帳との違い
療育手帳は、精神障害者保健福祉手帳と同等の役割を持っていますが、知的障がい者や知的障がい児を対象に発行されます。これは、法律で統一されているものではなく、あくまでも都道府県や政令指定都市独自の精制度です。そのため、一部地域では名称が異なる他、手帳取得に関する基準には地域差があります。
自立支援医療受給者証(精神通院)との違い
自立支援医療費制度は精神疾患の治療を促進する目的で誕生しました。自立支援医療受給者証は、医療機関への通院時に医療費が公費負担となります。受給者の対象範囲はすべての精神疾患者という点は、精神障害者保健福祉手帳と変わりません。医療費の軽減措置は、通院またはデイケア、訪問介護といったものが対象となります。入院を要する精神疾患や公的医療保険対象外の治療には適用されません。
本制度による医療費の自己負担は原則1割です。また、受給者の負担にならないよう、収入に応じて負担の上限額が定められています。さらに、長期療養が必要なケースになると、1か月あたりの負担限度額はさらに低くなるのです。
自立支援医療費制度の場合、有効期限は原則1年です。各市区町村の担当窓口で申請します。
なお、治療方針が同一であれば医師の診断書が省略できる場合がある点も、精神障害者保健福祉手帳との違いです。
障害年金
障害年金は、医師の診療を受けた上で障がい等級に応じて年金が支給される制度です。1級から3級まであり、働いていた時の平均給与を元にして、障害等級に応じた金額を算出します。障害年金制度は、就労できない状態にある精神障がい者の所得を保障します。長期にわたる療養が必要で転職が難しい場合は年金を申請しましょう。